自然再生・生態系の回復
在来の自然を把握し、時間の力で再生する。
- 在来植生や湿地、森林を自然資本として捉え、人為的影響を見極めたうえで、自然の回復力を引き出す再生型工法を採用。
当社グループは、南摩の里において、自然への影響を最小化するにとどまらず、自然の価値を回復し、未来へと高めていく「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて実践しました。
この場所は、壊すのではなく、取り戻すことから始まりました。
※「ネイチャーポジティブ」とは?
生物多様性の負(損失)の流れを止めて正(回復)に反転させる取り組みです
環境省ネイチャーポジティブポータルHP:ネイチャーポジティブポータル | 環境省
栃木県鹿沼市にある「水と緑の南摩の里整備事業工事」では、南摩ダム水源地域整備計画に基づき、ダム湖周辺地域においてアクティビティ施設の整備を進めています。整備エリアは、「森林体験エリア」と「アクティビティエリア」の2箇所で構成されており、地域の自然環境との調和を重視した施設づくりを推進しており、自然環境や生態系への影響に配慮した、さまざまな環境配慮型施工を実践しています。
取り組み一覧
立入りを抑制する必要がある箇所については、人工的な立入禁止柵の設置は行わず、在来種の広葉樹および地被植物による植栽を行うことで、生物多様性に配慮した設計としました。*周辺環境に適応した苗木を使用しています
【樹種】
クヌギ・ヤマボウシ・コナラ・ネムノキ・アセビ・クチナシ・ヤマツツジ・ヤマツバキ・アラカシ・ヤマザクラ・コグマザサ
整備前よりモグラ、シカ、イノシシなどの痕跡が見られたことを踏まえ、アスファルト舗装や砕石敷きといった人工的な状態は採用せず、自然状態への再生が可能となるよう最小限の整地に留めました。
これにより、将来的には周辺環境からの種子飛来による、自然な植生環境の創出が期待されます。
ウッドデッキ手前および遊歩道をアスファルト舗装とせず、砕石舗装を採用することで、生物多様性への影響低減を図りました。
砕石舗装は透水性が高く、雨水の地中浸透を促し地表流出を抑制するとともに、地表が完全に遮断されないため、土壌生物などの生息環境が維持されやすい特長があります。
現在もモグラの生息が確認されており、生態系への負担軽減につながっていることが確認できます。
もともと田んぼであった湿地帯の環境を残して、その特性を活用したウッドデッキエリアを整備しました。
ウッドデッキには、粉砕した木材を樹脂で固めた人工木材を使用しており、木の表情を活かしながらも高い耐久性を備えており、景観の維持にも寄与しています。
一般的なコンクリート製の土留め壁ではなく、割栗石を詰めたかごマットを採用しました。
これにより、多孔質構造により土砂が堆積しやすくなり、植生の復元や生物の生息場の形成に寄与しています。
通常はコンクリート二次製品で施工する側溝について、再生可能資源であるヤシ繊維由来の素材を活用することで、自然な緑の回復を図りました。さらに、小動物等が側溝に落下した場合にも脱出しやすい構造とし、生物多様性への配慮を行っています。
遊歩道沿いの斜面に法面保護を目的として、生分解性で最終的に自然に還元されるシート・マット材を採用し、自然な緑の回復を図りました。また、施工は人力による作業となり、騒音の発生を抑え、周辺の生物への影響低減に配慮しています。
階段道の施工にあたっては、金属やコンクリートではなく、防腐処理を施した再生材である間伐材を採用しました。間伐材の利活用による資源循環に配慮するとともに、周辺の自然景観との調和を図っています。
水路の一部において、工事で発生した自然石を活用し、現地資材の利活用による整備を行いました。
周辺の自然環境や景観との調和に配慮した水路を創出しています。
落差工の施工にあたっては、コンクリートを使用せず擬木を採用し、周辺環境に馴染むデザインとしました。また、底盤には割栗石を詰めたことで、多孔質構造による水の流れや土砂の定着を促し、生物の生息環境に配慮しています。
工事に伴い伐採したスギ・ヒノキのうち、用材として利用できない枝葉や根株を無駄にせず、栃木県内でバイオマス燃料用のウッドチップとして再利用しました。
地域内で資源を循環させる地産地消型の資源活用を通じて、地域社会への貢献につなげています。
取り組み一覧
受付棟を木質建築とし、大部分を栃木県産材としました。
地域資源の有効活用による資源循環や、輸送に伴う環境負荷の低減に配慮しています。また、木材を用いることで、周辺の自然景観と調和した、親しみやすい施設づくりを行っています。
受付棟のテラスには、粉砕した木材を樹脂で固めた人工木材を使用しています。
木の表情を活かしながらも高い耐久性を備えており、木質の受付棟と調和し、周辺環境との景観の維持にも寄与しています。
水源環境への影響に配慮し、受付棟からの排水は周辺水域へ放流せず、消化槽および蒸発散槽により汚水処理を行うシステムを採用しました。
エキスパンドメタルを用いた土留め壁に植生シートを設置しており、時間の経過とともに全面的な緑化が期待できます。周辺環境との調和を図るとともに、生物多様性の保全に寄与しています。
*アクティビティエリアにおける人の利用や、安全性、維持管理性を考慮した種子を使用しています
モルタルや鉄筋を使用せず、全面緑化が可能な植生法枠工を採用しました。これにより、従来工法と比べて余分な廃材を発生させることなく、廃棄物発生量の削減を図るなど、環境に配慮した工法としています。
時間とともに自然環境が回復していく様子が確認できます。
*アクティビティエリアにおける人の利用や、安全性、維持管理性を考慮した種子を使用しています
鹿による植生法枠工の踏み荒らしや植生後の若芽の食害対策として、感知式センサーライトの設置を採用しています。防護ネットなどの物理的な手法を避けることで、野生動物への危害を極力抑えつつ、植生の保全にも配慮した対策を実施しています。
在来の自然を把握し、時間の力で再生する。
排除しない管理で、いのちの営みを守る。
地域の木を、未来を支える資源へ。
見えない機能こそ、自然となじませる。
「水と緑の南摩の里整備事業工事」は、在来の自然を尊重しながら、人の営みと生態系が共に息づく未来を描くフィールドです。
在来植生の保全、自然再生型工法、地域資材の循環利用、そして野生動物との共存――。
当社グループは、時間とともに緑が育ち、いのちのつながりが広がっていく環境づくりを通じて、持続可能な社会インフラの新たな姿をここから創り出していきます。
この取り組みは、当社のパーパス「動き続ける街に、進化し続ける力を」を体現するものです。
この場所は、時間とともに進化し続けます。