気候関連情報開示 TCFD提言への対応
鉄建建設グループは、2022年3月18日に気候関連財務情報開示タスクフォース(以下、TCFD)の提言に賛同し、TCFD提言に則った情報開示を行っています。2024年5月に目標設定の変更による見直しを行いました。
今後も、サステナビリティ経営の推進を重要視し、情報開示の充実を図り、持続可能な社会の実現に向け、社会的価値と経済的価値の両立をめざす取り組みを推進していきます。
ガバナンス
鉄建建設グループは、サステナビリティ委員会の中に、環境課題に関して、事業活動に中⻑期的に影響を与える要因を特定し、その課題への基本⽅針や戦略の策定、⽬標の進捗報告、施策の審議などを通じて、地球環境の保全と向上を推進する機関として社⻑を委員⻑とした経営層をメンバーとする「環境戦略委員会」を設置しました。
委員会は半期に1回開催し、気候変動を含む環境戦略に関わる具体的な基本⽅針および計画の策定に関する事項、啓発、教育および研修に関する事項、調査およびサステナブルな経営実施状況の検証に関する事項の審議決定を⾏い、重要な事項についてはサステナビリティ委員会でとりまとめ、経営会議で審議した上で取締役会に付議し社内決定を⾏います。
リスク管理
鉄建建設グループは、環境戦略委員会事務局が中⼼となり、各部⾨と連携して「環境戦略委員会」で気候変動に関連するリスクと機会について議論し、評価しています。その対応策については、「環境戦略委員会」で実施状況を検証し、改善します。
「環境戦略委員会」で検証した気候変動に関連する主要なリスクについては、「リスク管理委員会」において、他のリスクとともに審議し、重要な事項については取締役会に報告または付議し審議します。
戦略
鉄建建設グループは、土木事業・建築事業・新規事業を対象に、気候変動に関連する中長期的なリスクと機会を特定しました。特定したリスクと機会に対しては、複数のシナリオ分析(右記参照)により、2030年と2050年において当社の事業に与える財務影響(大・中・小の3段階で評価)について検討しました。
なお、財務影響の重要なものについては、対応策を策定し、年度毎に進捗状況を把握するとともに、社会の動向を踏まえ見直しを図っていきます。
シナリオ分析結果
シナリオ分析
TCFDの提言に基づき、政策や市場の動向(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などの物理的変化(物理的リスク・機会)に関する分析を行いました。
Impact on Business and countermeasures
主要なリスクと機会 | 事業への影響 | 影響度 | 対応策 | |||
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2030年 | 2050年 | |||||
移
行 |
リ
ス ク |
カーボンプライシング | 施工時のCO₂排出に賦課される炭素税の増加
セメントや鉄製造時の炭素税賦課によるコスト増 建設コスト上昇に伴う投資抑制による需要減 |
大 | 大 | ◎施工中のCO₂削減推進
(再生可能エネルギー・次世代燃料への転換等) ◎コンクリート等低炭素資材の開発、提案力強化 ◎木造・木質化建築物の技術開発 |
顧客企業の価値観の変化 | 温室効果ガス(GHG)排出量の多い会社の受注機会減 | 大 | 大 | ◎施工中のCO₂削減推進
(再生可能エネルギー・次世代燃料への転換等) ◎ZEB・ZEH等の提案力・設計力強化 |
||
サーキュラーエコノミーの進展 | グリーン資材増加によるコスト増 | 小 | 中 | ◎グリーン調達コストを考慮した提案力強化 | ||
機
会 |
顧客企業の価値観の変化 | CO₂排出量の少ないインフラ市場(木造・木質化・ZEB・ZEH等)の拡大 | 大 | 大 | ◎低炭素資材の開発、提案力強化
◎木造・木質化建築物の技術開発 ◎ZEB・ZEH等の提案力・設計力強化 |
|
サーキュラーエコノミーの進展 | 低炭素素材関連事業の需要増 | 小 | 中 | ◎低炭素素材関連事業(バイオマスプラスチック等)の販売強化 | ||
世の中の価値観の変化 | カーボンニュートラルな交通インフラ関連工事の需要増 | 中 | 大 | ◎鉄道関連工事の技術力強化 | ||
エネルギーミックス | 再生可能エネルギー関連工事(バイオマス発電設備等)の需要増 | 小 | 小 | ◎再エネ関連工事(バイオマス等)への取り組みと提案力強化 | ||
物
理 的 |
リ
ス ク |
平均気温の上昇および海面の上昇 | 作業環境悪化に伴う対策コスト増 | 大 | 大 | ◎ロボット・ICT・AIを活用した省人化 |
自然災害の激甚化 | 自然災害の影響による資材の調達難 | 小 | 小 | ◎サプライヤーとの連携強化
◎サプライヤーのBCP対策を把握した上で材料を選定 |
||
機
会 |
平均気温の上昇および海面の上昇 | 海抜の低い地域からの移転需要の発生、海岸堤防工事、移転工事の需要増 | 小 | 中 | ◎防災・減災、BCPに関連する工事の提案力強化 | |
自然災害の激甚化 | 大雨・洪水関連工事の需要増
災害対策用としてのバイオマス発電設備等の需要増 |
小 | 中 | ◎大雨・洪水関連工事に対する技術開発の推進、工事提案力の強化
◎災害対策用再エネ発電設備の営業力強化 |
指標と目標
GHG(主にCO₂)の排出量削減目標
鉄建建設グループの 2022年度のScope1+2排出量は 43,942t-CO₂、Scope3排出量は 901,538t-CO₂でした。鉄建建設グループは、2030年のGHG排出量削減⽬標および、2050年の⻑期⽬標を設定し、事業活動におけるGHG排出量削減の取り組みを推進しています。今後も、より多くのGHG排出量削減のため、短中期の⽬標の⾒直しを適時⾏っていきます。
カーボンニュートラルに向けた移行計画
当社グループのGHG排出量について、2050年カーボンニュートラルに向けて移行計画を策定しています。
温室効果ガス排出削減目標を「1.5℃水準」に設定し、SBTi(Science Based Targets initiative)から2030年までの目標について認定を受けています。また、2050年にはカーボンニュートラルをめざします。なお、2050年はSBTiによる 「The Corporate Net-Zero Standard」に則り、中和(炭素除去など)により相殺する残余排出量を約10%未満とします。