NEW BUSINESS新事業

当社は2018年4月新事業推進部を新設し、2019年4月には「新事業推進室」に組織変更を行い、農業、再生可能エネルギー等の新しい分野への取り組みを本格的に進めてきました。
新事業推進室は、SDGsへの貢献と脱炭素社会の実現に向けて、イチゴ観光農園を核とした地域活性化をめざす農業の運営をはじめ、再生可能エネルギー事業としての小型木質バイオマスガス化発電および小水力発電に取り組むとともに、グレンカル・テクノロジー株式会社との協業により、従来の方式とは異なる大幅なCO 2 削減につながる低温プラズマ式乾燥機「レドックスマスター」の普及とその応用に向けた事業を展開しています。
また、2023年の冬からは、成長が早く、その過程においてCO2を旺盛に吸収する特徴を有する「早成桐」の栽培事業にも着手しました。

執行役員 経営企画本部新事業推進室長 宮﨑龍司

小型木質バイオマスガス化発電事業

ガス化発電装置の燃料に半炭化した木質チップを使用

当社は2018年12月から、東京工業大学と木質バイオマスガス発電の共同研究を進め、2020年10月には「半炭化処理された木質チップを効率よくガス化させる装置の開発」に着手、2021年3月当社はこのガス化装置を特許出願するとともに、発電ユニットと組み合わせ「小型木質バイオマスガス化発電装置」として実用化を図るため、2022年4月から実物大装置による実証実験を開始しました。この「木質バイオマスガス化装置」は、木材を半炭化してガス化することで、これまで放置あるいは廃棄されていた林地残材やダム流木を燃料としての利用が可能となり、森林資源の有効活用につながります。また、発電装置と組み合わせることで、再生可能エネルギーの提供による雇用創出等の地域活性化やカーボンニュートラルによるCO2排出量の削減につながります。

発電の仕組み

小型木質バイオマスガス化発電装置の実用化に向けて

当社が開発している小型木質バイオマスガス化発電装置は、200kWの出力を目指している装置です。このため大量の燃料(木質チップ)は必要とせず、地域で発生する材料を使用した地産地消型の発電と熱供給が可能な装置です。当社はこの装置の実用化を図るため、(株)DOWAサーモテックとパートナーシップを結び、2022年4月より実証実験を開始しました。前述の東工大でのラボ実験では分からなかった事象を一つずつ解決しながら進めています。この実証実験により事業スキームを確実なものとし、「地域に根付く発電所作り」を目的に、SDGs・サステナビリティに根ざした事業展開を目指して参ります。

実験施設
実験施設
ガス化装置ユニット
ガス化装置ユニット
発電装置ユニット
発電装置ユニット

低温プラズマ式乾燥機の販売事業

レドックスマスター®乾燥機は、グレンカル・テクノロジー株式会社が開発したプラズマ式イオン等発生装置(MIRA=Mixed Ion Reactive Approachシステム)が発生させる複数種のイオンにより、水どうしの水素結合を分断して低クラスター化することにより乾燥促進を行う画期的な円筒形撹拌乾燥システムです。従来の熱源乾燥機と異なり20℃~60℃程度の低温で処理するので、乾燥のために必要なエネルギーが極めて低く、処理コストも大幅に低減できます。

この特徴から本機で乾燥させた生成物は素材の酸化・炭化を防ぐという利点があり「乾燥」における多種多様な利用法が生まれ、多方面への本機の販売に対応するため、当社の子会社であるテッケン興産(株)がグレンカル・テクノロジー(株)と「販売特約店契約」を結び、レドックスマスターの販売に取り組んでおります。
※テッケン興産(株)にレドックスマスターの販売を目的として新事業推進部を新たに設立(2023年7月)
また、千葉県成田市にある当社の建設技術総合センター内に2023年8月にレドックスマスター実験等を完成させ、乾燥実験の受託やバイオマス原料の開発とレドックスマスターの普及に取り組んでいます。

MIRA=Mixed Ion Reactive Approachシステムによる
MIRA=Mixed Ion Reactive Approachシステムによる
低温プラズマ式乾燥機 レドックスマスター設置例
低温プラズマ式乾燥機 レドックスマスター設置例

レドックスマスター®の活用領域
レドックスマスター®の活用領域
レドックスマスター®実験棟
レドックスマスター®実験棟

いちご観光農園事業

コロコロいちごファーム看板

コロコロいちごファーム

2019年4月に「いちごの観光農園(コロコロいちごファーム)」を運営する㈱ファーム ティー・エスを設立しました。いちご狩り期間である1月~5月の間は毎年約3,000名のお客様が来園され、農園スタッフが丹精込めて育て上げたいちごをお楽しみいただいております。
また、2024年12月には、千葉県野田市に「コロコロいちごファーム 野田(第2農園)」のオープンを予定しており、今後も「食と農を通じて、地域発展へ貢献すること」を目的に、更なる地域活性化や地域間交流の促進に寄与してまいります。なお、いちご狩りのご予約はコロコロいちごファームのホームページおよび予約サイト「じゃらん」にて受け付けております。(5月のゴールデンウィークまで)

コロコロいちごファームWebサイト

建設中のコロコロいちごファーム野田(第2農園)
コロコロいちごファーム野田(第2農園)の外観予定パース

小水力発電事業

当社は、事業分野の多角化、環境配慮型事業への参入等を目的に、㈱飯塚工業他2社と共同で、山梨県大月市内で小水力発電事業(固定価格買取制度※1)を行うTKアクアグリーン㈱を2023年10月に設立しました。
当事業は、2022年8月30日に、山梨県より「山梨県有林内における小水力発電推進事業者」に選定されたことに伴い開始されたものです。その後、山梨県と「県有林内における小水力発電事業の実施に関する協定」(2023年4月付)、大月市と「真木川発電所活用における地域協力協定」(2023年4月付)を締結すると共に、関係者との協議が整ったことから、TKアクアグリーンを設立しました。今後は、2025年12月運転開始(予定)に向けて、設計・手続き等の準備を進めてまいります。
※1 固定価格買取制度:再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買取ることを国が約束する制度。(経済産業省 資源エネルギー庁ホームページより)

会見
地域協定締結式の様子(小林大月市長と伊藤社長)
取水地点の堰堤
取水地点の堰堤
取水施設全体 真木川下流部からのイメージ
取水施設全体 真木川下流部からのイメージ

早成桐栽培事業

早成桐(ジャパロニア)とは、桐と広葉樹の交配で開発された桐で、通常の桐は成木になるまで15~20年かかりますが、早成桐は約5倍の速さの4~5年で成長します。また、伐採しても切り株から再び新たな芽を出し成木へ成長する『萌芽再生』を、5年サイクルで4~6回以上繰り返すという特徴を持ちます。そして成長過程においてCO2吸収量が旺盛であることから、大幅なCO2削減が期待できます。
当社は知的財産・育成のノウハウを保有する一般社団法人クール・アースと業務委託契約を締結し、令和5年11月に新潟県長岡市の約5㌶の未利用農地に3,000本の早成桐を植樹し、育成を開始いたしました。
成木後伐採した材木(丸太)は、建築仕上げ用合板として製造、またはその他建築用建材・家具材として利用する予定です。端材はバイオマス発電燃料やバイオ炭として活用し、完全循環型、地産地消を構築し、地元産業の創生にも貢献してまいります。

植樹
早成桐(植樹後約1年半)
萌芽再生