TECHNOLOGY INTRODUCTION

LCR-Speed工法®

~老朽化した山岳トンネルを安全かつ高速でリニューアル~

概要

LCR-Speed (Lining Concrete Renewal-Speed Method)工法®は、老朽化した山岳トンネルの覆工コンクリートを安全かつ高速に更新する工法として国立研究開発法人土木研究所と共同で開発しました(特許登録済)。本工法は、外力等により構造の安定性に問題が生じているトンネルではなく、材質劣化や漏水など老朽化したトンネルを対象に行うものです。

専用の覆工切削機と切削箇所を防護する架台付き養生バルーンおよび分離型セントルなどを組み合わせることにより、車線規制期間を極めて短くでき、コスト縮減や工期短縮を図ることが可能となります。老朽化した覆工コンクリートの表面を切削し、硬化促進型高強度コンクリートを打ち直すことで、新設と同程度の耐力をもつ覆工コンクリートを構築します。

特長

本工法は以下の条件を満たすトンネルで、施工が可能となります。
  • 夜間通行止めが可能
  • 延長1000mまでの2車線道路
  • 矢板工法で施工された覆工コンクリート巻厚が60cm以上である
また、更新対象はトンネルSLより上部となります。なお、硬化促進型高強度コンクリートの一軸圧縮強度を60N/mm 2に設定しているため新設と同程度の耐力をもつ覆工コンクリートを早く構築できます。覆工コンクリートを1スパン(10.5m)ごとに更新し、施工スピードは当社比※約4倍の1ヶ月あたり約50mです。施工スピードを上げることで,コスト縮減や工期短縮を図ることができます。 ※)当社、高強度薄肉内巻補強工(供用しながらの片側施工,2班編成)との比較


施行手順は夜間閉鎖を行った後、覆工切削機を使用し老朽化した覆工コンクリートの表面を20cm程度切削、切削箇所を架台付き養生バルーンで防護し、昼間は道路を解放します。その後、切削箇所に防水シートを設置、分離型セントルをセットし、硬化促進型高強度コンクリートを打設します。圧縮強度が2N/㎜2を超える3時間程度のコンクリート養生後、分離型セントルの支保工部をトレーラーの上に脱枠し、そのまま坑外へ搬出して、道路を解放します。


■覆工切削機
切削部を覆工面に直角に向け自動制御方式で切削面を平滑にします。

■架台付き養生バルーン
トンネル内を移動できる鋼製架台に温風空気送風式の養生バルーンを搭載したものです。温風の送風により膨張したバルーンは、浮力により切削面に密着し、コンクリート片等の落下を防止するため、直下部を一般車が安全に走行できます。

■分離型セントル
型枠部と支保工部が分離できるテレスコピック型の構造を採用したセントルです。夜間に道路閉鎖し、覆工コンクリートを打設した後、型枠部から支保工部を分離してトレーラーで坑外に搬出します。型枠部を存置することにより、昼間開放時、セントル内に2車線を安全に確保できます。

■硬化促進型高強度コンクリート
繊維を混入した硬化促進型高強度コンクリートは、優れた充填性、高い初期強度、ひび割れ抵抗性、長期耐久性および爆裂防止性能を有しています。覆工コンクリート打設後、3 時間程度でセントルの支保工を撤去することが可能となります。