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鉄建建設のDX

DX NEWS DXに関するお知らせ

鉄建建設のDX戦略

当社は、2021年4月にDX推進室を立ち上げ、以降の3年間を「基盤整備フェーズ」と位置づけ、DXの推進に取り組んできました。この期間においては、「DXに対する意識改革」「デジタルリテラシーの向上」「基盤インフラの整備」の3つの方針のもと、デジタル変革の土台を築いてきました。

そして2024年4月、新たな中期経営計画2028を発表し、「基盤整備フェーズ」から、整備したデジタル基盤を活用し、業務の効率化だけでなく高度化を進め、その成果を企業の総合力へとつなげる「価値創出フェーズ」へと移行しました。このフェーズでは、「経営の高度化」「業務変革と人材育成」「デジタル基盤強化」の3方針をかかげました。

これらの3つの方針のもと、DX推進室では

  1. BIM/CIMやIoTなどのデジタル技術を活用し、モノづくりのプロセスや管理方法を変革する「建設プロセス改革」
  2. 業務の自動化や生成AIの活用によって業務体制を転換する「業務プロセス改革」
  3. これらを担うDX推進人材を育成する「人材育成」
  4. 蓄積データの管理・可視化・活用を強化する「データマネジメント」
  5. 環境変化に適応し、強靭なデジタル環境を構築する「ICT基盤とセキュリティの最適化」

の5つの戦略に取り組みます。

これらの戦略を強力に推進することで、経営目標の達成につなげ、当社のさらなる成長を実現していきます。さらに、2029年以降の「持続成長フェーズ」では、新たな収益構造の構築、新規事業の開拓、そして従業員満足度やエンゲージメントの向上を図り、持続的な成長をめざします。当社は、これからもDXの推進を通じて企業価値を高め、社会に貢献し続けることをお約束します。

代表取締役 執行役員副社長兼DX推進室長 東海林 直人

▲TEKKEN DXのこれまでとこれから
▲5年後に向けたDX戦略 ※2024年4月策定


建設プロセス改革

~効率化から高度化への変革~

建設プロセス改革は、BIM/CIMを核としたデジタル技術の活用により「モノづくりのプロセス」が変わり、現場ではセンサーやICTを活用した「管理のやり方」を根本から変革することへの挑戦です。情報のプラットフォームなども活用し、タイムリーな情報共有によりトラブルを防止し、課題解決に向けた迅速な意思決定をめざします。

■TK Construction Flow 360の構築

土木部門では、PC・RC構造物の計画・施工過程で発生する多種多様なデータを一元管理し、連携・活用するためのプラットフォーム構築を進めており、順次運用範囲を拡大していく予定です。

また、建築部門では、社内ワーキンググループを中心に議論を重ね、BIM推進ロードマップの策定を進めてきました。2024年度末からは、本社設計部を中心に作業所へのBIMライセンスの適用を拡大することで、2028年度までに現場業務の20%削減し、効率化をめざしています。

▲TK Construction Flow 360の構築図

■IoTとAIによる現場生産性の向上
~センシング技術と生成AIを活用した車線規制管理業務の効率化~

現在進行中の高速道路修繕工事では、センシング技術と生成AIを活用し、車線規制管理の効率化に向けた概念実証を実施しています。遠隔地から規制位置を地図で確認し、クラウドカメラ映像もチャットで呼び出せます。現場に行かずとも状況を正確に把握でき、少人数で広範囲の管理が可能になります。

最先端のデジタル技術と現場で積み重ねた経験と知恵を融合させることで、建設現場の働き方を進化させ、誰もが誇れる魅力ある現場づくりをめざしています。

▲高速道路の大規模修繕工事で概念実証
■作業所支援「D活サイト」に情報を集約し全社員へ公開
~DX活用の支援を必要とする作業所を支店DX推進グループと本社がサポート~

これまでのDX推進事例を集めた「DX CASEBOOK」を軸とした、支店DX推進グループとの協業による現場のDX推進活動は「D活(ディーカツ)」としてスタートしています。各支店で「D活」が自律的に展開できるように、情報共有サイト「D活サイト」を開設しています。このサイトでは、マニュアルリンク、問合せ先、導入実績作業所数、各作業所のDX推進度合いなどの情報を集約し、知りたい情報に迷わずアクセスできるよう整理し公開しています。また、DXの普及を促進するため、DX推進グループリーダーとともに作業所を訪問し、直接支援を実施しています。

さらに、定期的にメールマガジン「DXルール最新情報」を社員へ発信し、さまざまなルールや新しい情報を再集約してお知らせしています。
今後も現場の声を反映させながら、DX推進をサポートしていきます。

■建設業界全体の生産性および魅力向上をめざす
~会員企業と技術の共同開発や既開発技術の相互利用を推進~

鉄建建設は、建設RXコンソーシアムの正会員です。建設RXコンソーシアムとは、建設業界全体の生産性及び魅力向上を推進するために、施工段階で必要となる、ロボット技術やIoT関連アプリケーションにおける技術連携を相互に公平な立場で進めることを目的とし、この目的を達成するために、技術の共同開発や既開発技術の相互利用を会員及び協力会員とともに推進しています。




業務プロセス改革

~デジタル技術を活用した新しい業務体制への転換~

業務プロセス改革の未来は、これまでの働き方を根本から変革することにあります。ペーパレス化により定型業務のアウトソースが容易になり、繰り返し業務の自動化で正確性と省力化を実現します。また、AIの活用で新たな発想が生まれるなど、デジタルを活用した業務体制への転換を加速し、生産性向上をめざします。

■生成AIの活用による技術の伝承

▲全社員が使用できる生成AI一覧

生成AIの活用で業務プロセス改革を加速
当社では当社専用の生成AI「てっけんAI-Chat」を全社員で活用しています。社内認証による安全なアクセスに加え、情報漏えい防止や管理機能を備えたセキュアな環境で、安心して利用できます。また、「Copilot」や「BoxAI」のライセンスを全社員に公開し、「Copilot for Microsoft 365」や建設用語に特化した生成AIの試行も進めています。

これまでの取り組みとして、2023年9月には生成AI活用に関するガイドライン策定、2024年6月には、役員・社員をはじめ、派遣社員を含む約2,400名に利用方法を学ぶeラーニングを実施しました。

用途に応じて複数の生成AIを活用し、業務プロセス改革を加速させていきます。



デジタル人材育成

~全社員がDXを活用できる環境の構築~

デジタル人材育成の未来は、限られた人的資源を最大限に活かし、組織の成長を加速させることです。個人のスキルや立場に応じた基礎習得から高度なスキルまでカバーする体系的な育成により、全社員がデジタルスキルを高め、成長し続けることで、企業の競争力が高まり新たな価値を生み出します。

▲DX人材育成ビジョン
■DX推進体制/DX人材育成ビジョン

当社ではIT・DXリテラシー向上を目的に「DX人材育成ビジョン」と「DX人材育成フレームワーク」を定めています。

DX人材育成ビジョンでは、業務推進力の高い社員にはさらなるデジタルスキルの習得を促し、IT部門でも高度な人材の育成が必要です。また、最も重要なのは、ビジネスとITの橋渡し役となり、アイデアを創出するDX推進人材を増やし、そのレベルを向上させることです。これらの取り組みにより、社員の成長を支援し、組織全体でDX推進を加速させていきます。


▲DX人材育成フレームワーク


データマネジメント

~データトリブン経営に向けた基盤構築~

データマネジメントの未来は、蓄積されたデータを最大限に活用し、迅速かつ的確な経営判断を可能にすることです。 データを活用することで、より正確な状況認識ができ、意思決定の質も向上します。さらに、先を見据えた施策や新たなアイデアが生まれ、気づかなかった価値を創出することも可能です。

■営業支援
~基幹システムと連携した営業支援システムによる案件の見える化~

基幹システムのアップデートに伴い、営業支援システムとの案件情報の連携を開始しました。案件情報と営業記録を紐づけながらデータを蓄積し、案件情報の可視化を進めています。動的シミュレーションなどの可視化機能も充実し、本支店間で鮮度の高い情報を共有しながら会議が可能になりました。今後は、受注確度や利益率の傾向を分析し、案件選別を通じてより効果的な営業活動につなげていきます。

▲営業支援システムの概念図

■キャリア形成/育成
~タレントマネジメントシステムの導入による人材データの一元管理・可視化~

人材データを一元管理し、可視化するタレントマネジメントシステムを2025年4月導入しました。
組織にとっては、人材の現状をリアルタイムに把握できたり、キャリア形成を踏まえたシミュレーションが可能です。また、個人にとっても、自己の成長やスキルを把握でき自律的に行動を起こせます。データを可視化・分析することで最適な育成と戦略的配置へと進化し、人的資源の最大活用をめざします。

▲人材データの一元管理と活用イメージ


ICT基盤/セキュリティ

~ICT基盤アップデートの継続とセキュリティ体制の構築~

ICT基盤/セキュリティ戦略のビジョンとして、ユーザーの利用環境の変化に適応し、安全かつ快適なネットワークを提供することで利便性を向上させます。また、環境変化に伴う新たな脅威に対応するため、外部監視サービスを活用し、社内ルールを継続的に見直し、強固なセキュリティ体制を維持します。

■次世代ネットワークへの移行完了とセキュリティ強化の取り組み
2024年度に次世代ネットワークへの切り替えを完了し、今後のデータ増加にも対応できる環境を整備しました。さらに、Windows 11搭載の軽量モバイルPCへの移行を推進し、業務の効率化を図るとともに、多要素認証の導入によりセキュリティの強化を進めています。今後も、グループ全体での運用コストを考慮しながら、サイバー攻撃リスクを低減し、安全なデジタル環境の提供に努めてまいります。