DIGITAL
TRANSFORMATION
鉄建建設のDX

~DXを原動力とした変革への挑戦~

DX NEWS DXに関するお知らせ

鉄建建設のDX戦略

近年あらゆる産業において、AI、IoT、ビッグデータ等のデジタル技術の活用を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、企業個々の課題解決はもとより、新たな成長・競争力強化につなげていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の潮流が起きています。建設業界も例外ではなく、建設技能労働者の減少を背景としてデジタル技術を活用した生産性の向上など、デジタル技術で建設現場にどこまで変革を起こせるかが課題となっています。

こうした中、当社は2020年9月にサイバー攻撃による大規模システム障害が発生し、ネットワーク環境の脆弱さが露呈すると同時に、ITインフラについてさまざまな課題が浮き彫りになりました。多くのお客さま、関係者の皆さまに多大なご心配ご迷惑をおかけしたことを真摯に反省し、その上でこの経験を活かして、鉄建建設グループ全体で新たな取り組みを開始しました。

2021年度よりスタートした中期経営計画(2021〜2023)に向こう10年間の長期的なDX戦略を組み込み、システム基盤の抜本的な整備とさまざまなデジタル技術を駆使した建設技術の向上を図り、働き方改革と業務変革を推進し、更なる持続的な成長をめざします。

DX推進室 DX企画部長 前田 智宏

DXを原動力としたビジョン
中期経営計画(2021〜2023)の原動力としてのDX
DX推進のイメージ

営業・企画提案のDX

お客様の期待に応える情報共有スピードの実現に向けて・・・
~データ分析や営業情報の集約と活用~


多くのお客さまと商談をしながら常に複数のプロジェクトが同時に進む営業の場面では、情報の収集と整理、共有と判断を正確かつ迅速に行うことが大切です。また、企画の優位性や施工実績の紹介、概算予算の提示なども求められたときに迅速に対応することが求められます。鉄建建設では、コラボレーションツールであるMicrosoft Teams®やクラウド技術を活用した営業支援ツール(CRM・SFA)などの先端システムを全社導入して、出張先などの遠隔地でもオフィス同様の営業活動を実現します。

企画提案の場面では、BIM/CIM(ビルディング インフォメーション モデリング/コンストラクション インフォメーション モデリング)モデルを構築して、動画や3D・VR・ARなど視覚に訴え直感的でわかりやすい企画提案を行っています。同時に、提案の初期段階から精度の高い設計・施工の計画を実現し、過去の実績に基づくコスト算出でお客さまの事業実現に貢献しています。

業務管理のDX

多様な働き方や業務の効率化の実現に向けて・・・
~M365の活用と基幹システム刷新を軸とした業務の効率化と高度化~


業務管理部門でも、Microsoft Teams®や各種のクラウドシステムを導入して、テレワークやフレックス勤務などの多様な働き方と業務の効率化を同時に実現します。よりセキュアなICT基盤のもと、電子契約システム、労働管理システム、経費精算システム、各種分析ツールなどは基幹システムと連携し、徹底した印鑑レスの実現とあわせ、新しい時代の業務管理体制をめざします。

現場施工のDX

~建設現場へのICT技術の展開~

土木や建築の現場は、従来、3K(キツい、汚い、危険)と言われてきました。しかし、今日ではクラウドサービス、高速通信システム、AIやICT、IoTの活用により、多くの新しい技術が建設現場へ導入されています。鉄建建設でもより安全に、より効率的に施工を進めるための技術を開発し、現場への展開を図っています。

調査・設計・施工計画の高度化

■UAV測量
測量業務における生産性の向上と労働環境の改善のために、高性能カメラやレーザー装置を搭載したドローンによるUAV(Unmanned Aerial Vehicle)測量を実施しています。UAV写真測量では、3Dモデリングの解析により高精度の測量を短時間で行うことができます。UAVレーザー測量では、樹木下の地表測量により広範囲のデータを樹木の伐採をせずに、短時間で密度の高い3次元点群データを取得することができます。


■BIM/CIMモデルの構築
BIM/CIM は、3D CADで作成された設計モデルに、UAV測量や3Dスキャナで取得した3次元点群データを取り込むことにより、精度の高い計画立案や設計を実現します。施工計画では、このBIM/CIMモデル上で実際と同じ手順で構造物を構築してみることで、施工に当たっての課題や問題点を事前に把握し、対策をたてることが可能となります。

その後の施工、維持管理の各段階においても3次元モデルを連携・発展可能で、事業にかかわるすべての関係者間の情報共有を実現し、建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることが可能です。

3Dレーザースキャナ
点群データ
BIMモデル化
BIMによる施工計画の一例
BIMによる施工計画検討事例

施工管理の高度化

■鉄筋組立ガイダンスシステム
「鉄筋組立ガイダンスシステム」は、3DCADモデル上で鉄筋・鋼材の干渉チェックを行うとともに、配筋順序を3D動画で示すことにより、鉄筋工が視覚的に配筋順序を確認でき、手戻りを防止するシステムです。管理技術者や技能者との作業手順の共有化、外国人労働者や未経験者への作業手順の共有化を図ります。また、データの蓄積により、熟練技能者の技術伝承を図っていきます。

■鉄建橋梁管理システム
張出し架設工法で施工される橋梁工事の管理業務の効率化・省力化のために、「鉄建橋梁管理システム」を開発し、導入しています。

緊張ジャッキの張力と伸び量を自動計測し、高い精度で緊張作業を行うことを可能とした『自動緊張管理システム』により、作業員は緊張作業から解放され、人為的な測定誤差も排除されます。更に、緊張ジャッキの伸び測定による自動停止機能により、安全性についても向上します。

橋体形状の自動計測においては、『上げ越し管理システム』と連動することで、測量作業の省力化を図り、手計算・手入力の人為的ミスを排除します。

『帳票・施工図自動作成システム』は、施工ブロック毎に作成が必要な、各種帳票および施工図を自動作成し、省力化を実現します。

■コンクリート打設管理システム
定点カメラで撮影された施工動画および作業員に装着したウェアラブルセンサにより、打設されたコンクリートの状況や作業員の動きを計測し、作業進捗や行動履歴等の確認項目ごとに分析を行って、打設済みの領域や作業時間のグラフなどの表示やメッセージの通知を行い、監督者へ施工状況の直感的な把握と適切な作業指示を促します。タブレット端末やPCで操作可能とし、遠隔地での管理も可能となります。

■帯状濡れセンサモニタリングシステム
帯状濡れセンサモニタリングシステムは、濡れセンサと温度センサを組み込んだ帯状のセンサを型枠(せき板)の内表面に設置することにより、コンクリート打設時のコンクリートの充填状況をリアルタイムに把握することが可能です。さらに、濡れセンサ出力率と豆板・巣による空隙率は負の相関性が高いことを利用して、コンクリートの密実性を検知することが可能であるため、コンクリートの締固め状況を把握することにより、豆板防止などコンクリート構造物の品質向上に効果的です。

検査の高度化

■3Dスキャナを用いた配筋検査システム
3Dスキャナで取得した配筋の点群データから、鉄筋径、本数、間隔を自動算出し、計測作業の効率化を図ることが可能です。また、点群データを発注者と共有することにより、遠隔地からの検査が可能となり、発注者、施工者ともに省力化が図れます。

また、配筋データをBIM/CIMモデルと紐づけておくことで、トレーサビリティを確保し、将来の維持管理にも活用できます。

点群データ
鉄筋モデル化

近未来に向けて一歩ずつ、現場に貢献する建設RXをめざして

バッテリー機関車(サーボロコ)の自動運転システム

シールド工事の生産性と安全性向上のため、坑内Wi-FiとAIカメラシステムを用いたバッテリー機関車(サーボロコ)の自動無人化運転システムを開発しました。 上下水道管の小断面シールド工事などにおいて、狭隘な作業エリアでの資材運搬作業を安全かつ効率的に行うことができます。本システムは、建設業界で初めてWi-Fiによる坑内ネットワークを使用した長距離路線運行管理システムです。サーボロコに搭載した高精度・高感度AIカメラシステムを用いたリアルタイムの遠隔監視が可能です。AIカメラは、人とモノを高速・高精度で判別して自動で運転制御を行うため、安全性が大幅に向上します。既に現在施工中のシールド工事(東京都北区)において導入しています。

バッテリー機関車(サーボロコ)の自動運転システム

~建設現場へのRX技術の展開~

鉄建建設では、現場で役立つ建設DXを推進しています。近い将来のSociety5.0やデジタルツインの時代を念頭に、新しい技術を一つひとつ実際の施工の場面に適用していくことで、建設DXを着実に進めていきます。また、建設RXコンソーシアムのロボット及びIoTアプリ等の共同研究開発に参画し、建設分野における機械化施工・ロボティクストランスフォーメーション(建設RX)を推進していきます。

建設RXコンソーシアム