TECHNOLOGY INTRODUCTION

点群データを活用した配筋検査システム

配筋検査の準備を省略化し、遠隔地からの確認も可能

概要

構造物施工において配筋検査は必須です。その作業に対して数名の職員が対応し、負担も大きく改善課題の一つになっていました。そこで今回、3Dレーザースキャナによって得られる点群データを活用した配筋検査システムを開発。検査業務の効率化と省力化を実現させます。

本システムは、点群処理ソフト『InfiPoints』の基本性能である点群から配管モデル生成の機能を元に、各鉄筋径に合わせた鉄筋モデル化の機能を採用しました。
3Dレーザースキャナにて取得した配筋の点群データをソフトへ取込み、3Dモデルを生成。ソフトウェア上で計測したい配筋面を指定することにより、『鉄筋径』、『本数』、『鉄筋間隔(最大、最小、平均)』、『重ね継手長さ』の配筋データを得ることが可能となります。

① 点群データ取得(3Dレーザースキャナ)
配筋状況を可能な限り確認出来るように、複数回スキャンを実施します。(写真―1)スキャナの据え付け間隔は5m以内、点群密度の設定は10m先で3mm間隔を基本とします。

InfiPointsへデータ取り込み
スキャンデータは取り込むと自動的に合成されます。形状が複雑な場合は、手動にて合成します。(図―1)

③ 鉄筋モデルへ変換
鉄筋組立範囲を抽出し、各鉄筋径に合わせて鉄筋モデル化。(図―2、3)〔例:D13 ⇒ φ12.7mm〕

④ 配筋面ごとに鉄筋部分を抽出
鉄筋の主鉄筋及び配力筋が計測しやすいように配筋モデルを抽出します。
事例ではPC橋の張出架設での配筋状況から、下床版の上側鉄筋を抽出しています。(図4)

⑤ 配筋状態の計測
主鉄筋及び配力筋を選択して計算を実行します。(図―5)

⑥ 配筋データ出力
計算結果として、本数、鉄筋間隔、重ね継手長が出力。(図―6)

特長

  • 本システムを使用した場合、1名での計測作業が可能となり、作業時間が短縮されます。また成果作成についても、これまで計測者が行っていた作業をデータ編集者と分業する事で、計測者の負担も軽減されます。

  • 現在の写真による記録では、その性質上撮影した箇所の状況を残すことしか出来ませんが、3Dレーザースキャナによって得られる点群では、360度の状況が保存されます。

  • 多段配筋などスキャナから配筋状況が確認出来ない箇所では、1段組み立て後にスキャンするなど、タイミングの工夫により配筋全数の保存が可能です。

  • 計測データをデータベース化することでトレーサビリティが確保され、将来、補修が生じた際の状態確認や維持管理にも有効活用できます。

今後の開発

・様々な環境や構造物での計測を実施し、従来検査に対してこの新しい方法が採用されるように検証中です。
・各種帳票への出力対応も検討しています。
・3Dレーザースキャナ本体も開発中です。市販のスキャナに対して約半分の時間での計測が可能になり、作業の効率化が図れます。またスキャンデータをリアルタイムにパソコンへ転送・状況確認する機能も搭載されます。
(写真―2)
・データ転送機能と5Gとを組み合わせて、大容量の点群データをリアルタイムに高速でクラウドへ転送し、データ処理するシステムも開発中です。(図―7)