
2010/02/04
カテゴリ: てっけんプロジェクト
豊かな自然環境に恵まれた岡崎中央総合公園文化ゾーンの核として平成8年7月に岡崎市美術博物館(マインドスケープ・ミュージアム)が開館しました。心と体のリフレッシュのための空間にふさわしい、世界で初めての「心」をテーマにしたミュージアムです。敷地は豊かな自然を残す岡崎中央総合公園内にある高台の一角に位置しています。池のほとりに建ち上がった建物は、精緻なリブ状コンクリート打放しの造形も美しく、ガラス張りのアトリウム、伸びやかにはね出したレストランのウイング型大屋根をアクセントにして、泰然とした全貌を大自然の中に横たえています。平成9年には良好なまちなみ景観の形成や潤いのあるまちづくりに貢献している建築物として『愛知まちなみ建築賞』を受賞しました。
当時工事に携わっていた名古屋支店古知野作業所の野澤 満さんと一緒に現地を訪れました。


―工事について教えてください。
岡崎市美術博物館は、エントランスホールが2階にあり、建物から池へアプローチできるスロープや階段があるなど地形を活かした造りとなっています。周辺の自然環境との融合を図るため、外壁は精緻なリブ状コンクリート打放しを採用しました。
その他、高さ約20mの吹抜けを有する総ガラス張りのアトリウム、レストランのウイング型大屋根がアクセントになっています。
―建物を久しぶりに見ていかがですか?

自分は仮設工事担当だったので、足場の計画を任せてもらっていたのですが、躯体が階段とスロープの連続で複雑な形状をしていたので、どのような足場を組めばより効率的なのか、非常に悩みながら計画を立てていた記憶が鮮明に残っています。クローラークレーンが2基あり、作業ヤードも広かったので、これを有効に使い、足場をユニットで組んで移動しながら転用していくといった考えもこの現場ならではの発想だったと思います。このように現場の特色をいかした計画を立てることも非常に大切なことだと感じました。もちろん現場が大きいだけにその分失敗も大きく・多かったのですが...今思えば入社4年生の自分によく任せてくれたものだなと今になって思いますし、上司や先輩に感謝しております。実は工事が終わってからも何度か家族を連れてこの場所を訪れています。子どもから「すごくかっこいい建物だね!」と言われた時は、とても誇らしく思いましたし、苦労したことも今ではいい思い出となっています。

―トラブルや苦労したことはありますか?
広い公園の敷地内での工事だったので、近隣は何も無く、作業ヤードも十分あって環境的には非常にやりやすかったのですが、建物の形状が当事の自分にとっては非常に複雑であり、イメージしにくかったので、足場の計画には大変苦労しました。幸い模型が事務所にあったので、毎日にらめっこをしながら足場の出来上がりをイメージしていました。ただ内部までは分からなかったのですが。内部足場は殆どが支保工足場で、特に建物南側が長大なスロープと階段で構成され、内部は支保工兼用足場、外部はスロープ上の浮き足場といった具合で何度も失敗して組み直した苦い経験があります。又、外壁がリブ面のコンクリート打放しで、足元はスロープの浮枠なので吹き出しなっており、コンクリートの打設にもかなり苦労したのを覚えています。美術品の収蔵庫なので打継からの漏水事故に配慮し、出来る限り少ない回数での打設に腐心しました。仕上がりの結果が期待どおりでなくくやしい思いをしたこともありました。

―当時を思い出して一番印象に残っていることは何ですか?
アトリウム棟、レストラン棟の足場が解体され建物全容が見えたときは、とにかく凄い建物をつくったのだと感動しました。
―竣工した時の感想を聞かせてください。
これだけ立派な建物に仕上げることができたという自信から、今までの苦労も報われたと思いました。
岡崎市美術博物館
○施工場所 愛知県岡崎市
○発注者 愛知県岡崎市
○設計 (株)栗生総合計画事務所
○構造 RC造 一部SRC造、S造
○延床面積 6,251.4㎡
○工期 1993年12月~1995年11月