
2009/07/13
カテゴリ: てっけんプロジェクト
当社初の免震建物として、鉄道や道路などの交通に関する最新の技術を開発する日本交通技術㈱さまの本社ビルを施工しました。
建設コンサルタント会社であるお客さまの本社ビルとしてふさわしい、安全性、機能性を追求し、免震システムを基礎部に設置、21世紀の新しい技術の発信基地となっている建物です。
当時工事に携わっていた本社設計部の坂井 誠さんと、平成20年に入社した平田 聡さんと一緒に現地を訪れてみました。
― お客さまである日本交通技術㈱さまの本社ビルは当社初の免震ビルの建物ですが、簡単に工事について教えてください。
坂井
日本交通技術㈱の本社ビルは、地上8階建ての鉄筋コンクリート造の事務所ビルです。地下の設備ピットに天然ゴム系積層ゴム、鉛プラグ入り積層ゴム、鋼棒ダンパーを配置した免震構造の建物です。
また、事務所ビルでスパンが大きいため、上部構造の大梁はPC(プレストレストコンクリート)梁を採用しています。

―竣工以来10年ぶりに現地を訪れたそうですが、久しぶりに建物を見ていかがですか。
坂井
入社1年目にマンションの現場に配属されましたが、仕事に慣れるのに精一杯で日常に追われ余裕を持って仕事に取り組むことができず、あっという間に工事が終わってしまった感じでしたが、この建物は入社2年目に私が担当した2つ目の現場で、仕事に対して余裕を持って取り組むことができ、工事の流れを理解して携わることができた思い出深い建物なんです。
当時、お客さまの「地震から確実に財産を守りたい」と言うニーズと当社の提案がマッチし当社の免震技術が採用されたのですが、その技術が実際に活躍しているのを見て、すごいものを造ったんだなと思ったのが率直な気持ちです。
当時、色々なプレッシャーがありましたが、やり遂げられて良かったなと思います。また、所長より仕事を任されることも多くなり、責任のある立場で工事に携わることができ、工事の進め方、技術的なこと等、全てが自分にとって財産となるような経験ができました。
今日11年ぶりに完成した建物を見ましたが、完成した当時とあまり変わることなくきれいに使われていて感動しました。また、初心に返った気持ちになりました。
―現場での作業がスムーズに進行するように何か心がけていたことはあります か? また苦労した事を聞かせてください。
坂井
協力業者さんに効率的に指示、伝達ができるよう、コンクリートの打設等色々な計画書を作成し、作業をする前に綿密に打合わせをしました。打合わせをすることで、みんなで一緒にやろうという雰囲気もできました。
免震建物は当社にとって初めてのチャレンジだったので、工事が進むと悩むことも多くありましたが、厳しい工期の中で、ミスをして手戻りがないように慎重に工事を進めました。
この建物は、お客さまや設計事務所から高い品質要求事項があり、初めの頃は意思の疎通がなかなかスムーズにできず、厳しい監理指導を受けることもありました。
しかし、施工者として何事においても実直に対応して、信頼関係を築いたことで、工事の途中からは「よくやってくれてるね。」と声を掛けてもらえるようになりました。
お客さまや設計者とよい関係を築くには、「これくらいでいいか。」ではなく、「やりすぎ!」といわれるくらい、何事においても真面目に取組んでいる姿勢をみせることで、相手に信頼してもらうことが大切だと思います。
さらに、信頼に応えることが肝心なんだと言うことを学びました。それが全てではないかもしれませんが、よい関係を築くことは仕事をスムーズに効率的に進めることにもつながって行くと思っているので、いつも私はそのことを心がけていています。
また、当社初の免震建物ということで、工事期間中は見学される方が多く、その度に現場にゴミ一つ無いように清掃し、また沢山の資料を揃えなくてはいけなかったことも苦労した点です。
でも見学者が多いという事は、みなさんが注目をしている工事だったのだと思い、今となっては誇らしく思えます。

―何か挑戦したと思えるエピソードはありますか?
坂井
免震工事については、すべてが初めての経験だったので施工手順や品質管理方法などを所長や主任とともに色々と打合せして進めたことを思い出します。また、構造設計を希望していたので、免震関係の本を買って勉強したことを憶えています。
コンクリート工事では、お客さまが土木のコンサルで土木仕様のコンクリート躯体をつくって欲しいという強い希望がありました。そのため、所長からコンクリートの打設計画をつくるように言われ、土木の仕様書や学会基準などを勉強して施工計画書を作成しました。
また、絵に描いた餅にならないようにコンクリート打設にあたっては職人さん達と一緒になって施工したことを思い出します。
―何か自分が成長したと思えることはありますか?
坂井
当時はとにかく何事にもがむしゃらにくらいついていきました。
そんな気持ちになれたのは、現場で所長や主任みんなで同じ方向を目指していたことが大きく影響していたと思います。1つ問題を乗り越えられると仕事が楽しく思え、図面どおりの建物が完成していく感動を味わえたこともモチベーションを保つことができた要因の一つです。
学生から社会人になり厳しく忙しい環境の中で、「この会社でやっていけるのか?」「えっ!こんなこともするの」と、迷うことも多くあり、工事中に「いつか辞めてやる!」と思ったことがあったことは今となって笑い話しです。
―当時を思い返してみて、一番印象に残っていることはどんなことですか?
坂井
入社1年目、2年目くらいのやわらか頭の時に印象に残ったことは、インパクトが強く、後々の自分自身の経験において影響力がとても強いのだなと今になって思います。
仕事に対する姿勢であるとか、いろいろなアプローチの仕方など、当時の基準で判断することも多くあります。また、所長や主任に色々なことを教えて頂きましたので、今でも頭があがりません。
―これから挑戦したいことはありますか
坂井
今は現場を離れ設計部で構造設計の仕事をしていますが、ゼネコンの設計部として施工部門と密に連携をはかり、その立場を生かしていきたいです。
建物の機能性、施工性、経済性を満足した建物を設計し、現場の仕事がスムーズに進むような設計および監理を行い、「うちの設計部が設計してくれたから仕事が進めやすい。」と現場の方に言ってもらうことが目標です。
また、自分の設計した建物が全国各地にできたらいいなとも思っています。
―最後に後輩に一言!
坂井
困った時は一人でかかえこまず、なんでも相談してください。相談することで再発見や気づきが生まれ、行き詰っていることが解消され仕事が楽しく思えるようになると思います。
仕事は能力のあるなしだけではなく、本人のやる気や興味を持って楽しんで取り組めるかが大事です。
また、これは違うなと思う失敗や挫折も自身の知識や経験としての財産になると思います。それらの知識や経験を次の機会に生かして前向きにチャレンジしてください!
日本交通技術(株)本社ビル新築工事
○施工場所 東京都台東区上野7丁目11番1号
○発注者 日本交通技術株式会社
○設計 株式会社交建設計 / 株式会社東京建築研究所
○工事概要 RC造 / 地上8階 / 延べ床面積 2,424㎡
○免震装置 天然ゴム系積層ゴム 5基 / 鉛プラグ入り積層ゴム 6基
鋼棒ダンパー 5基
○工期 1997.4~1998.3